院長のメモ帖
2016年7月29日 金曜日
AC電力位相制御の基礎数式
(追記) この記事には重大な数式に誤りがあり、結論が間違っています。参考にしてはいけません!
こちらを 参照してください。
電動燻製マシーンを作るにあたっての、基礎研究シリーズ、AC電力位相制御についての覚書です。
DCでヒーター出力を精密コントロールするならPWM制御を選べばマイコンのPWM端子とパワーMOSFETを使えばいいだけなので簡単ですが、ACの場合、位相制御かインバーター制御ということになりますが、どちらもそれなりの回路が要求されます。今回は位相制御を選択し、試作機は出来上がりました。その試作機については別に記事にしますが、今回は位相制御のソフトウェアの基礎となる計算式についての考察です。
AC位相制御を簡単に説明すると、トライアック(サイリスタ)を使って交流波の半波の前方部分の出力を0Vにすることで、平均電圧を100V以下の任意の電圧に落とす、という感じですね。位相制御について知りたい方はWekipediaを参照してください。この記事では、位相制御の概要は理解していることを前提に、任意の「出力電力」を得るために必要な「電力をOnにしている時間」を求める式を考察します。
今回の制御機器はヒーター(ニクロム線)ですので温度にかかわらず抵抗値Rはほぼ一定です。そこで、
Q(熱量) = k(定数) * W(電力)
= k * A(電力) * V(電圧)
= (k / R) * V 2 (式1)
となりますので、ヒーターの出力熱量は電力Wに比例、電圧Vの二乗に比例します。
また、位相制御で半波当たりのOn時間の割合をtとすると平均電圧Vは、
V = k2(定数) * (cos(0) – cos(t*π) )
= k2 * (1 – cos(t*π))
となり、t=1 (常にAC ON、すなわち最大出力時) の時のVが1になるように正規化すると K2 = 1/2となるので
V = ( 1 – cos(t*π)) /2 (式2)
になります。
t,Vに合わせて、電力Wも0-1に正規化すると式1は、
W = V 2
となりますので、式2を代入し、さらにθ = t * π (式3) とすると
W= {( 1 – cosθ ) /2}2
= cosθ 2 – 2cosθ +1
をcosθで整理すると、
cosθ 2 – 2cosθ + 1 -W = 0 (式4)
と、二次方程式が導けますので、その解は
cosθ = (2 +/- SQRT( 4 – 4*(1-W) ) / 2
= 1 +/- SQRT(W)/2
また、今回、cosθは、0-1間しかとりませんが、加算する側の解は1を超えますので、式4の有効解は
cosθ = 1 – SQRT(W) / 2 式4′
この式を cosX = YのときacosY = X の定義で変形すると
θ = acos(1 – SQRT(W) /2)
さらにθの定義、式3を代入して
t = acos(1 – SQRT(W) /2) / π 式5
これで、この式5に出力したい電力Wを代入すれば、それに必要なパルスOn時間tをマイコンで計算できるようになりました。
いやー、幾何学なんて何十年ぶりに計算したんでこの式を導出するのに丸一日かかっちゃいました。
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